読書感想文 井伏鱒二著『岬の風景』

山椒魚 (新潮文庫)

山椒魚 (新潮文庫)

なんということだ!本当にこの本初めて読んだんですよ。今日感想を書くことにしたのも頭っから順に読んでいるだけ。
この話もお嬢様とメイドさん(表記は「賄い」ですが……)と主人公の恋愛話でした……
といっても、上に感想を書いた『佐々木の場合』とは設定がずいぶん違いますね。主人公は学校を卒業したのに就職もせずぶらぶらしている男。今で言うニートですね。家族からもお金がもらえなくなっちゃってたまたま見かけた新聞広告をたよりにとある地方の旧家で家系図編纂人をすることになります。
その家のお嬢様「みち子」ちゃんは女学校をでたというのに英語が全くできない。そこで主人公が英語の個人教師もすることになります。主人公だって人間、食べなければ生きていけません。そのために賄いの女の子が通ってくることになりました。彼女は「さよ子」といいます。
みち子にとってはもともと苦手な英語だけに勉強にはあまり身が入りません。自ずと主人公と無駄話をする機会が増えてきます。さよ子とも毎日顔を合わせているうちに仲良くなっていきます。自然と憎まれ口を笑い会いながら叩くような中になっちゃいます。


フラグが立っちゃうんですね。


その後の話は……まぁ読んでみてくださいな、って感じですね。この小説も面白かった。今日は2本とも当たりです。何十年も生き残っているだけのことはあるなぁと今さらながら感心しました。
しかし、この小説もまた感想を書きようがない。「女って強いね」ってことになっちゃうのかなぁ(笑)。そんな身も蓋もない……。男の浅はかな行動なんて彼女たちにとってみれば一種哀れみの対象になっちゃうんですね。うん。面白い。やるせないけれど、面白い。