『とらドラ!』と『ハヤテのごとく!』と……
- 作者: 竹宮ゆゆこ,ヤス
- 出版社/メーカー: アスキーメディアワークス
- 発売日: 2009/03/10
- メディア: 文庫
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- 作者: 畑健二郎
- 出版社/メーカー: 小学館
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- メディア: コミック
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なお、『とらドラ10!』を読む予定があってまだ読んでいない人、ネタバレを極度に嫌う人はこの後のリンク先も読まない方がいいと思います。私はあらすじがわかる感想を書くことを苦手にしているので読んでもどういう話かつかめないとは思うんですけどね。私の書く感想文はその本を読んだことがある人を主要な対象としています。だから決してレビューや書評には成り得ないわけです。
この記事は両方の作品を読んだことがある人か全く読む予定がないけれど興味がある人を想定読者にしています。
- 2009/3/10 読書感想文 竹宮ゆゆこ著『とらドラ10!』
- 2009/3/10 読書感想文 竹宮ゆゆこ著『とらドラ!』(全) 『とらドラ!』について
- 2009/3/10 読書感想文 竹宮ゆゆこ著『とらドラ!』(全) 逢坂大河が手乗りタイガーである理由
- 2009/2/18 読書感想文 竹宮ゆゆこ著『とらドラ!』 高須竜児について
- 2009/2/13 読書感想文 竹宮ゆゆこ著『とらドラ!』 逢坂大河について
- 2009/2/10 読書感想文 竹宮ゆゆこ著『とらドラ!』 川嶋亜美について
- 2007/2/21 「スーパーハイブリッドコミック『ハヤテのごとく!』」(暫定版)
- 2006/9/17 ハヤテのごとく!初めて読む方への推薦状
関連記事はこのくらいでいいかな?これでわかるかな?なんのかんの言っても積み重ねなんですよねぇ……。
さて、ここから本題です。
昨日書いた『とらドラ!』完結に伴う考察チックな記事でも『はやてのごとく!』を引き合いに出しましたがこの2作品には共通項があると私は感じているんです。それは、女の子にも人気が出るのではないか?ということです。状況は全然違うんですよ。『とらドラ!』の方は、それぞれ属性が違い考え方も違い方向性も違う逢坂大河と櫛枝実乃梨と川嶋亜美という3人のヒロインがいて、それぞれに感情移入をできるし、そもそも今まで愛を求めてもいくら求めても奪われるだけだった女の子が自分が求める以上の愛を返してくれて自分のすべてを受け入れてくれてだから自分の生涯を賭けることができる男の子と巡り会ったってのが根底にある作品だと思うんですよね。でもね3人は同級生なんです。
『ハヤテのごとく!』の場合は、現状ラブコメ展開の主力は西沢歩と桂ヒナギク。2人は同じ男の子を好きになっていますが、一人はそれをはっきりと相手に伝え、もう一人は伝えることができず逆に向こうからアプローチをされるのを待っている。でも、本当のヒロインは別にいて、三千院ナギは主人公から子供だと思われ、マリアさんはそもそも観察者的なポジション、『とらドラ!』だと恋ヶ窪ゆりちゃんのポジションね、にいる。こちらの場合は年齢差っていう今までラブコメではあまり扱われてこなかった設定を前面に押し出しているように見えます。
『とらドラ!』ではある世代の女の子が自分をヒロインのうちの誰か、あるいは複数に置き換えてみて感情移入しゅることができるんじゃないかなぁと思います。もう一つ想定される読み方は高須泰子ポジションで子供たちの成長を見守りつつ自分も……っていうことかなぁ。
『ハヤテのごとく!』の方は、物語の進み方が遅いという特徴とあいまって、読者が自分の成長に合わせて憧れたり感情移入したりする登場人物を変えることができるんですよね。だから、たぶん、一読しただけで済ませるようなライトな読者の場合、何年か、何ヶ月かして読み返すと初めて読んだ時とは全然違う感想を持つ事ができるんじゃないかなぁと思っています。
ところが、どうも男子の居場所が見あたらないのですよ。この両作品には。
たぶんそれは『とらドラ!』も『ハヤテのごとく!』も主人公に明確な目標がないってのが理由なんだろうと思います。『とらドラ!』では最終的には結婚してみんなが幸せになることがゴールになっていますが、『ハヤテのごとく!』はどうなるんでしょうねぇ。まだ全く見えていません。
男としては、「この子可愛いなぁ」という目線では見ることができるけれど、男性登場人物に感情移入することがなかなか難しい作品のように思えています。
ところで、この両作品を読んでみて、もしかすると私が今まで誤解をしてたのかもしれないことに気づきました。
『とらドラ!』では男子の心理描写が、『ハヤテのごとく!』では女子の心理描写が描かれることが多い。もしかすると、思っていたのとは逆なのかも知れないです。作者とは違う性別を与えられたキャラクターの心理を描こうとするとどうしても冗長とまでは言いませんが丁寧な書き方になってしまい、逆に作者が自分と同じ性別、特に一種の自分の分身的なキャラクターを描いた場合にはそれがおろそかになるという傾向があるのかもしれません。
そして、そこもこの両作品の相違点になっています。
最後に。この両作品の最大の相違点を述べてこの記事を終わりにします。
『とらドラ!』は大団円と呼ぶにふさわしいラストシーンを迎えました。この後も登場人物たちの物語は続きますけれど、これでストーリーは終わりです。『ハヤテのごとく!』にもいつかはその日が来ます。しかし、『ハヤテのごとく!』の場合、その日が来る前にもなんどか大団円と呼ぶにふさわしいラストシーンが用意されているんじゃないかな?というのが私の予想です。
『とらドラ!』並みとまではいかないにしても、それなりに読者の涙腺を破壊するような物語が何本も並列して描かれているのが『ハヤテのごとく!』じゃないかなと思っています。
だって、実際そうだったじゃないですか。
ヒナギクさんのラストシーンが描かれた98話。ギャグパートから一転西沢さんのラストシーンに突入しアニメ放送直前に打ち切り?と見まがうような演出までされた116話。もうすでに2回はあった。個別のラストシーン以外にも作者がいうところの「暫定最終回」がまだ残っているのかも知れない。
『とらドラ!』も『ハヤテのごとく!』も両方とも好きです。大好きです。愛していると言ってもいい(笑)。でも、根本的に作りが、構造が違うと私には思えるんですよね。
でも、繰り返しますが両方とも面白い。ストーリーが面白いし仕掛けも楽しめる。『とらドラ!』の10巻を読んでから1巻を読み返すと「これも、これも、これも、これも、全部ラストへの伏線じゃねーか!?」と疑心暗鬼になれます。そこは『ハヤテのごとく!』に似てますね。
思えば、漫画やアニメ、そしてライトノベルの感想を書くようになってから、リアルタイムで完結したそのジャンルの作品について感想を書くのがたぶんこれが初めてだったと思います。
泣いたのよ。マジで泣いた。たぶん読み返したらまた泣く。思い出しただけで涙ぐんできたもん(笑)。あーやだやだ、恥ずかしい。
ってことは、たぶん『ハヤテのごとく!』が完結したらこんなもんじゃ済まないですね。もしその頃会社員で働いていたら2日くらい有休を取っておいた方がいいような気がしてきました。サンデーでの完結とコミックスでの完結での両方でね。