読書感想文 森鴎外著『堺事件』

一言で言うと史実ものなのかな?これって??
俺は社会好きだったけれど好きなのは地理で歴史はさっぱりでした。興味が持てなかった。多くの同級生が興味を持っていた幕末から威信にかけての日本がどうだったのかってのも実はよく知らないです。


この小説は幕末に起こった実際の事件をモチーフにした作品みたいですね。
文面通りに見ると異国人の横暴からやむなく反撃したら罪に問われたのでフランス人立ち会いのもと切腹しようとしたんだけれど、切腹シーンにフランス人がびびって途中で終了したって話。
当時の人の感覚では、この状況で生き残ることは恥だったんだろうな。今を生きる俺には当然そんな根性はないけど……。しかし、この作品で描かれる生き残った人たちはそれはそれで幸せそうだしたくましいです。その理由は、彼らが切腹をするために武士になることを認められた平民だったというところにあるのかなと思いました。
彼らは、武士に憧れていて、武士の生き方を正しい物として受け入れてはいるけれど、平民としての図太さも持ち合わせている、というように読めたのですがいかがでしょうか?


森鴎外作品独特の「色」あるいは「艶」は感じませんでしたが短いし読みやすい小説です。隊長の思い、主人公たちの思い、フランス人の思いなど感情移入できるポイントは多数あると思うので、わりと感想は書きやすいと思います。