読書感想文 宮沢賢治著『蜘蛛となめくじと狸 洞熊学校を卒業した三人』

うう……。黒いよ……。黒すぎるよ……。


何が黒いって最後の洞熊先生のセリフが黒いね。「いい子供」って……。


話の本筋から言うと、「悪いことはできないぞ」っていう教訓めいた話だろうとは思うんですけれど、三者三様の破滅への道がなかなか面白い。
昨日感想を書いた『どんぐりと山猫』にも通じますが、宮沢賢治の小説は競争社会への皮肉が込められていて、その皮肉は未だに通じるところがあるんですよねぇ。これも昨日の繰り返しになりますが、宮沢賢治自身が競争社会を憎んでいたというとらえ方もできるけれど、私はそれをやるといつか罠に陥ると思うのでそういうとらえ方はしない方がいいと思いますね。宮沢賢治の場合は大丈夫でも他の作家だとそれが通じないかも知れません。創作者は演技をしている可能性があるから……。