東海地震が話題になった今こそ、日本全国の書店は全力で『大地動乱の時代』を売るべき!



大地動乱の時代―地震学者は警告する (岩波新書)

大地動乱の時代―地震学者は警告する (岩波新書)







千葉県松戸市にある自宅では日曜夜の方が大きく揺れました。それほど大きな揺れではなかったのでしっかり2度寝してしまいましたが……。目が覚める程度には揺れたと言うことですね。


さて、当然のように今日の地震について「東海地震の前触れか!?」などとおっしゃる人はいるわけです。気象庁は否定する情報を出しましたがこんな記事がでちゃったりもするんですよねぇ。



そりゃそうだ。想定しているメカニズムじゃないんだから捕捉できるわけがない。東海地震が起きやすくなったと言っている専門家とか書いてありますがソースが明記されていない以上信用できません。自称プロ専門家かもしれないしね。
むろん、それぞれがお持ちの仮説次第では関連性有りという結論に達する可能性はありますが、その過程の説明がなければ単なる思い付きとなんら変わりはないんですよねぇ。




さて、本題に入ります。


こうなってくると、いたずらに不安を煽るような言説やら、無知が産む、酷い場合には無知につけ込むようなオカルトな言説やらがぞろぞろと出てくるのでは無かろうかと心配になります。そして、それに惑わされる人が出てこないかと心配になります。


しかし、我々には、そういう攻撃から身を守るすべがあります。それも、たった数百円で身を守ることができる方法です。
その方法とは、『大地動乱の時代』を一度読んでみることです。


この本は大きく前半と後半に分けることができます。後半は若干前提知識が必要かも知れないなぁという印象を私は持っています。しかし、前半部分はおそらくだれでも容易に理解できるはずです。いろいろな史料から過去に起きた地震で何が起こったのかを、被害状況のみにとどまらず、その恩恵までも交えて綴られています。読み物としても非常に面白いです。
私は、その前半部分だけでもこの本を読む価値があると思っています。過去に地震に遭遇した人の様子をかいま見るだけで心の持ちようがずいぶん変わってくると思うのですよ。


そして、その過去の地震の歴史をひもといてみると、ある一定の規則性が見えてくる……そういう流れになっています。


後半部分はプレートテクトニクスの大まかな知識がない人にとっては、もしかするとちょっと難しいかも知れません。しかし、この本に書かれている情報をなんとなく理解するだけであっても、今回の地震の原因と目されるフィリピン海プレート内部の横ずれ断層が、フィリピン海プレートユーラシアプレートに沈み込む際に起こると考えられている東海地震とは「直接の」関係が無いことはおそらく理解できるかなと思います。
石橋氏の説とは違う説もおそらくはあると思われます。私自身、この本の末尾で書かれている石橋氏の考え方には必ずしも賛成はしておりません。しかし、それでも東海地震について何かを知ろうと思ったら、まずこの本に当たるべきです。
私は自分の趣味、そして学校での勉強でも地震や火山などの自然現象に関する本をわりと多く読んできたと思います。それらの本の中でも『大地動乱の時代』は別格です。凄みを感じる本です。個人的には名著と言ってもいいと思います。もしまだ読んでいないと言う人がいらっしゃったら、今回の一件で平積みにする本屋さんも多いと思うので一度手にとってみてください。ぱらぱら斜め読みしてみてください。気に入ったら買ってみてください。ブックオフを含む古本屋でも見かけることが多いのでそういうところで買えば安くて二はいると思います。むろん図書館で借りることだってできます。




私が特定の本をここまで強烈にお薦めするのは珍しいですね。なんかこっぱずかしくなったので、上に「惑わされないように」と書いたオカルトな言説を書いてみましょう(笑)。


『大地動乱の時代』で「活動期に入った」と書かれていますが、私は別の意味でも活動期に入ったんじゃないかなぁと思っているんですよ。
関東から東海にかけての地震はせいぜい数百年というこういう学問で扱っている時間軸から見たらほとんど「同時」と言ってもいいようなタイムラインで流れています。
私はそれよりはもうちょっと長い数千年っていう時間軸で活動期に入ったのかもしれないなぁという印象を持っています。あくまでも印象。俺が生きているものすごく短い時間内だけで感じた印象だし証拠はなにもありません。
もし仮にそうだとすると、東海地震ってのは天の配剤かもしれないんですよね。今回の地震で怪我した方は大勢いらっしゃって、地震が原因で無くなられた方もいらっしゃるかもしれないらしいです。被災した地域の方たちはそうでなくても大変だと思います。他人事だからそんな物騒なことが言えるんだなどと思う人だっていると思います。しかし、残念なことに地震はいつかは起こる。間違いなく起こる。その現実からは逃れることができない。もしかすると運悪く私も死んでしまうかも知れないし、運良くなんの影響も受けずにのうのうと生きながらえることができるかもしれない。それは実際に起こってみないとわからないです。とにかく、できるだけ早く起こって欲しい。地震ってのは後になればなるほど強大なエネルギーを発散するものなので早く起こるに越したことはありません。巨大地震が一発来ると日本は壊滅的な打撃を受けるでしょう。その度合いはできるだけ少ない方がいいんです。そして、もし仮にうまいこと観測網が機能して東海地震をある程度の精度で予想できたとします。そうなったら、その観測網を経済的に許す範囲で他の地域にも広げることができるようになります。そうすると結果的には人命、財産の消失が最低限に食い止められるのでは無かろうか?そんなことを夢想しているのです。
マチュアの研究者のみなさまも地震予測をしてらっしゃいます。そういう地道なデータ収集が実を結ぶことだってあり得ると思います。そもそも地震って上にも書いたように人間の時間尺度では理解するのが難しい現象なのでは無かろうかと私は思っているのですよ。しかしまずは莫大(とまではいかないかな?)な予算をかけて実装した東海地震の観測網です。それが生きればより大きな被害を食い止めることができるのではなかろうかなと思っています。