読書感想文 森鴎外著『じいさんばあさん』

なんとも優しい気持ちになれる小説でした。話自体は殺伐としているのに……


今で言う六本木のあたりに住むことになったじいさんとばあさんのお話。じいさんもばあさんも一方ならぬ人物のようでありながらも謎につつまれている。
作中でその2人の過去が語られる……と言った趣向になっています。


一時の激情による罪を負った男とその妻。老境に達して再会を果たした時の心持ちやいかに……。


感想も短いけれど作品も短いです。さくさく読めますね。三十数年という時の流れによって隔てられていた2人が、若干の距離はありつつも優しい時間をすごすことができるようになった。その様子を文字を通じて読者も共有することができるからなんとなく優しい気持ちになれるのかもしれません。