読書感想文 宮沢賢治著『クねずみ』

不覚にもオチで吹いた。黒いわ〜、これ……


前に感想を書いた『ツェねずみ』とつながっている話です。しょうもないといえばそれでお終いなのですが、おそらくは人の心の内に住んでいる黒い部分を刺激するお話ですね。
まず「クねずみ」の言動。彼と同じようなことをしていないと言い切れる人は少ないんじゃないかなぁと思いますねぇ。自分より物を知っている人偉そうな人に対して「おもしろくない」と思ってしまうのは誰もが多少は持っている端から見るとあまり感心できない感情なのではなかろうかと思います。
その感情が暴走してしまったが故に衆人環視の中暗殺されることになったクねずみですが、突然やってきた猫によって助けられます。本来は敵であるキャラによって一時的に助けられるってのは『ツェねずみ』と同様皮肉ですね。


そして最後のブラックなオチに至ります。このオチは秀逸だと思うぞ。短い作品なので立ち読みでも味わえると思います。