読書感想文 宮沢賢治著『鳥箱先生とフウねずみ』

今さらなんだけれど、俺は宮沢賢治を誤解していたようだ。
子供時代そんな真剣な読者じゃないくせに「読め」と言われて読んでいたのでそれはそれはありがたい物だと思っていた節があります。『雨ニモ負ケズ』の印象が強いんだなぁ。ああいう人格者のイメージ。
ああ、でも思い出した。あれを読んだ時の感想って大人受けが悪いものだったんだなぁ。こないだ書いたテレビ版エヴァンゲリオンと同じ感想だった。ラストはエンディングのためのエンディングでしょ?っていうふうに思ったんだなぁ。嫌な子供だ(笑)。


さて、『鳥箱先生とフウねずみ』。ねずみシリーズにはどうも権威に対する冷めた見方と、それと同じくらいに無知に対する冷めた見方が錯綜しているように思えます。大したことも出来もしないのに偉そうに振る舞う鳥箱先生、常に自分よりも劣る(と思われる)ものと自分を比べようとするフウねずみ。そこには愛すべき登場人物はいません。


これでようやくねずみシリーズ終了です。足かけ何ヶ月もかかったなぁ。文庫本の並び順で言うと次はようやく有名なあの作品になりますが、それを読むのはいつの日になることか……。