『ハヤテのごとく!』と『ドラゴンクエスト9』− スーパーハイブリッド論補足



この記事では『ハヤテのごとく!』と『ドラゴンクエスト9』の構造をちょっとだけ見比べることにします。前置きが本編の割にあまりに長くなりすぎたので分割しました。





これを書いてからもう2年半経つんですね。


ハヤテのごとく!』はゲーム的という評価を良く目にします。なので、いわゆるギャルゲとかエロゲってのをちょっとやってみたりしました。作品によって異なるのでたまたまそこに至らなかっただけという可能性は決して否定できないのですが、個人的には、コンピュータを使ったゲームという仕組み的に『ハヤテのごとく!』と同じ構造を取ることはできないのでは無かろうかと思っています。


では、『ドラゴンクエスト』シリーズはどうなのか?


たしかに言われてみると似ているのですよ。初期のドラクエは違いますが、3以降かな?はショートストーリーの積み重ねで全体の物語を創り上げていますから。今流行っていて私もやっている『ドラゴンクエスト9』なんて、まさにそんな感じじゃないですか。
でも、私の感覚では『ハヤテのごとく!』と『ドラゴンクエスト9』の構造は根本的に違うと思えるんですね。


ドラゴンクエストIX 星空の守り人

ドラゴンクエストIX 星空の守り人



さて、一体どこが違うのか。それは、ショートストーリー同士の関連性にあります。ドラクエの場合、別の場所にいるキャラクターの背後にあるストーリー同士は、全く関係ないか、関係があっても全体の物語の中では希薄なことが多いように感じます。そう感じる理由の一つは、おそらく「時の流れ」だろうなぁと思うんですよね。
ドラゴンクエスト9』には物語が始まる前の「時の流れ」を感じさせるエピソードは数多く用意されていますが、ゲーム中で自然な時の流れの中で別々の物語同士がそれぞれ影響を与えるってことは無いように思えるし、それをやってしまうとゲームとして破綻してしまうように思えるんですよ。難しすぎて……。


ドラクエに限らず、ショートストーリーを組み合わせて一つの物語にしていくって言う方法は今までも普通に存在していたと思うのですよ。それが新しいというつもりはありません。
私が『ハヤテのごとく!』を読んで、当初は全く理解できず、理解した後は「もしかするとこれは千年に一度生まれるかどうかの革命的な手法なのではないか?」という疑いを持つようになった理由は、そのショートストーリーの組み合わせ方です。
まず、簡単な方は順列です。ある物語の終わりが別の物語の始まりのきっかけになることがある。これだけならよくある話です。
続いて並列です。別の主人公による別の話が同時に描かれる。こちらは、同時というわけではないけれどドラクエなんかが該当すると思われます。
その両方を組み合わせ、それぞれに関連性を持たせるという作りの話を私は読んだ記憶がないんですね。
本質的には全く関係ない話、現状の原作で言えばヒナギクの話とアテネの話とか、現状のアニメで言うと、バイトの話と咲夜の誕生日の話とかが、時間をキーにして互いに微妙な影響を与え合い、そして、それぞれの話が一応の終結を向かえたとしても、その後それをきっかけにそれぞれ別の話がまた始まるという作り。さらに、その行き着く先として創造主があらかじめ決めているエンディングがあるという前提。そのエンディングのトリガーは日付であるという条件。
複数の仕組みを組み合わせた方法がハイブリッドなら、それらをより複雑に組み合わせているから「スーパーハイブリッド」としか言いようがないのかなぁと私は思っています。