読書感想文 高橋留美子著『境界のRINNNE』1巻2巻

境界のRINNE  1 (少年サンデーコミックス)

境界のRINNE 1 (少年サンデーコミックス)

境界のRINNE  2 (少年サンデーコミックス)

境界のRINNE 2 (少年サンデーコミックス)



1巻2巻同時発売。さらにはテレビCMまで作ったりして小学館も気合い入ってますね。





ほぼ毎週感想を書いています。んで、毎週短いです。感想の書きようがないんですよねぇ。で、高橋留美子さんはどこかの誰かさんとは違ってコミックスで自作について語るみたいなことを昔っからしないのでコミックスになったからと言って書くことが思い付くわけでもなく……。
各話感想は たぶんこれで見れるはず。



人それぞれいろいろな感想はあると思いますが、私は『境界のRINNNE』は高橋留美子作品、いわゆるるーみっくワールドの集大成なのかなぁと思っています。
うる星やつら』での容赦ないギャグ。まだ色は薄いですが『めぞん一刻』でのコテコテなラブコメ。『犬夜叉』で得ることができた女性読者に受け入れられやすい主人公(これは自分ではわからないです。女性に聞いた話……)。『1ポンドの福音』で描かれたようなぬるいバトル。主に短編で描かれている非日常を受け入れて日常を送る人たち。
今のところ描かれていないのは『らんま1/2』でのバトル、ラブコメパート以外の部分、つまりは「性」の問題くらいでしょうかね。その変わりに『境界のRINNNE』でテーマとなっているのは「死」です。
通常、重かったり興味本位だったりで描かれるテーマを、(作中での)日常で描くってのは高橋留美子作品の特徴なのかなぁと思っています。こんなに人が死ぬことを軽く描いている漫画ってあんまりないですよね。特に少年漫画ではね。軽すぎてそれに気づかないくらいです。


もし仮に新人漫画家がこういう作品を描こうとしたら編集部からダメ出しされるのではないかと思います。生理的に嫌悪を抱く人もいるだろうし叩こうと思えば意図もたやすく叩けるテーマに挑んでいるわけですから。
こういう、笑ってはいけないところで笑うってのは笑いの基本なんじゃなかろうかと思います。当事者は至って真剣で笑うと怒られる、だからこそ端から見ると笑えてしまう、そういうもんなんじゃないかなぁ。




私は、一般論としては漫画がそれほど好きではありません。積極的に読もうとは思わないタチです。でも、遠い昔『めぞん一刻』と『うる星やつら』を読んで、いずれ自分の価値観をぶちこわすようなすごい作品に出会えるに違いない、そして、その作品は漫画という手法で描かれているに違いないという予感を抱いて数十年細々と読み続けていました。
結果的にそういう作品は高橋留美子さんの手による物ではなく、彼女にも影響を受けたと思われる別の作者の手による物だったのですが、高橋留美子作品に出会わなかったら、おそらくはその作品に出会うこともなく、読んでもいないのに「漫画はダメだ」とかいっちゃうような笑える人間になっていたような気がします。


境界のRINNNE』が世間一般で受け入れられる作品になるのか?正直私にはわかりません。高橋留美子さんが笑いの面で強く影響を受けた作家に私自身も影響を受けているのでツボが同じだから面白いと思えるという面は決して否定することができません。


ある程度の人気が出ればきっとまたアニメになるでしょう。読み返してみるとヒロインの真宮桜を始めとしてかわいいデザインの女の子キャラも多いんですが、今流行りの萌え系としては見てもらえないんじゃないかなぁと言う気もしますねぇ。でも、まだ始まったばっかり。『うる星やつら』や『めぞん一刻』で、破壊力があって、後の類型にもなるような女の子キャラをたくさん作り出した作者ですからそっち方面からも受け入れられるようになるかも知れませんねぇ。なんせ、女の子のサブキャラがまだ少ないからね。これからでしょう。六道りんねに恋をするちょいと逝っちゃってる美少女とか絶対出てきそうなんだよな(笑)。