読書感想文 宮部みゆき著『パーフェクト・ブルー』

パーフェクト・ブルー (創元推理文庫)

すげー面白かった。




いろいろてんこ盛りの推理小説でした。語り手が犬なのですが、「彼」がハードボイルド担当なんですよね。
美人タイプと可愛いタイプの女の子がそろった探偵一家がいて、行きがかり上そこに居候することになった被害者の弟くん、そのちょっとぐれてる弟くんを生暖かく見守りつつも実は荒事にも強いマスター、さらには黒幕的な大企業に属する癖のある人々、登場人物だけ見てもてんこ盛りで、それぞれ魅力があります。
推理小説としての視点からは、冒頭のショッキングな描写、それに一旦オチをつけてからの本当の殺人、活劇による犯人探しとその結末、その後描かれる一見無関係な物語、２つの別の物語がつながる過程、意外な犯人、警察が関与しない活劇、そしてなによりも「パーフェクト・ブルー」の意外な正体、ほんと、てんこ盛りです。
宮部みゆき作品ということで、デビューの頃からすでに社会派的な推理小説を書いていたのかなぁと言う予断を持って読み始めたのですが、その予断は当たってました。その予断があったので登場人物紹介を見た時には既に物語の背後にある何かを感じ取ってしまったわけですがそれは仕方がない。おそらくは作者もそれがあるからこそさらなる一ひねり二ひねりを施してくれたんでしょうね。


もしこの作品を読んでいなくて推理小説が好きな人がいたら絶対おすすめです。大がかりなトリックとかはないけれど、謎解きと活劇を楽しめる作品です。