ジャイアントキリング

いい試合だなぁと思ってみていました。がんばってるなぁと思いました。それでも勝てるわけがないことはわかってました。
サッカーではなくラグビー。実力差が点差に素直に跳ね返ることが多い競技です。番狂わせはめったに起こらない競技です。




劇的な幕切れでした。




ただ勝ったというだけじゃないです。同点ではなく逆転を狙う。そこが余計にしびれました。食い下がって引き分けを勝ち取るのではなく、1か0か。0だったらその場では大善戦と話題になるけれどすぐに忘れ去られます。この1はたぶん長く記憶に残り続けるでしょう。
スケールは違うけれど昔々の大学ラグビーでの同志社の戦い方を思い出しました。俺は関東の大学出身なので応援チームとしては敵なのですが一時期の同志社ラグビーは見ていて気持ちがよかった。執拗にトライを狙う。ペナルティーゴールでの確実な点数ではなくトライを狙い続ける。結果的には勝てなかったですが強烈な印象を持ちました。
しかし、スポーツは勝つことが目的です。勝つために何をすべきか、その選択を迫られる以上、かつての同志社のようなラグビーは決して主流になることはありませんでした。


未明の日本代表は試合の最後、執拗にトライを狙い続けました。その選択はまさに勝つための選択でした。引き分けではなく勝つ。負けるリスクを冒してでも勝つ。おそらく見ている誰もが勝てるとは思っていない南アフリカ代表を相手にして勝つ。勝ち切る。その執念に驚かされました。
結果は時の運というのがどうしてもあると思っています。あのレベルまで行くと反則を含めてミスをするしないというのも選手個人とか戦術の問題ではなく運でしょう。めったにしないようなミスをここ一番の大事なところにするということだってあります。ミスが多い選手はあそこには立っていられません。そんな選ばれた選手でもミスをすることがある。それはどちら側にも言えることです。
しかし、チャレンジしなければ何も生まれません。あそこでペナルティーゴールを狙ってミスをする可能性だってあるんです。そうなったら悔やんでも悔やみきれない。だったら1か0、1になる確率は低いかもしれないけれど別の選択をしたところで0になる確率は0になる訳ではないし1になる確率は0になってしまう。
すばらしい選択をして最高の結果を手に入れました。


いろいろごたごたしてますが、この調子なら案外と日本開催のワールドカップは盛り上がるかもしれません。