こち亀連載終了と江戸町人気質
表題とは関係ない話から始まるんですけれどね。
先日、ときどきお世話になっていた天ぷら屋が急に閉店したんですよ。たぶん自宅兼店舗で家族プラス職人みたいな感じでこぢんまりとやっていたお店でしたが、値段が手頃なのにそこそこおいしかったんですよ。
閉店の理由は少なくとも表向きは大将の高齢化とのことですが、この地域では稼ぎ時である年末年始を前にしてすぱっとやめたなぁと感心をしました。
閉店後しばらくして店先にかごが並びました。「ご自由にお持ちください」と張り紙をして使うことがなくなった食器を処分していました。そういうものをもらうことに抵抗がある人はいるだろうしその気持ちもわかりますが、私は全く抵抗がないので店の名前が書いてあるわけでもないけれど思い出になるかもなと思いいくつかいただいてきました。
そのとき偶然バスが通りかかりました。「こち亀」ラッピングバスでした。
ああ、そうか。これが江戸っ子気質ってものなのかなぁとなんだか勝手に納得しました。
言葉にするのは難しいんですが、継続することに対する価値はすごく認めるんだけれど、すぱっとやめることもいとわないんですよね。宵越しの銭は持たないみたいな気っぷの良さを持ち合わせていて、そういう行動をとる人に対してかっこよさを感じるみたいなね。
なんかその矛盾したところが逆にすんなり受け入れられるんですよ。
こち亀だってやろうと思えばまだ続けられるところでやめたじゃないですか。苦しかったかもしれないけれどそれを乗り越えて続けるという美徳はあったと思うんですが、ちょうどいい機会が来たからすぱっとやめた。それはそれでまた美徳なんじゃないかなとも思うんです。
そういう美徳感から前に書いた「東京商人」という一群について考えるとまた新しい発見がありそうです。