6.コンテンツ

記事の内容とアクセス数の関係


本題に入る前に2005/5/29に書いた「携帯ブラウズ向けのサイト」という記事を思い起こしてみる。テキストオンリーの長文サイトは携帯でのブラウズに向いている。自分の携帯で表示することができない記事を携帯電話から読んでいる人が多いことで気づいたことだ。そのことは自分一人の力では決してわからなかった。コンテンツをアップロードして、それに対して読者がどう反応するか。それを分析することによってその後のコンテンツを調整する。アクセスを獲得するためにはそういう作業が必要になると思っている。*1


さて、本題に戻ろう。サブタイトルのつけかた、それによる他のサイトからの捕捉、サーチエンジンでの上位表示についてここまで書いてきたが、結局のところたまたま訪れたこのサイトの記事に内容が無いと思われてしまうと読者は定期的に読みきてくれない。毎日、毎週、あるいは毎月読みに来たいと思ってもらうためには、読者の嗜好に合致したコンテンツを頻繁に用意しなければならない。
このサイトはハヤテのごとく!という漫画に関する記事が非常に多い。訪れてくださる読者も大半がその記事が目当てだ。しかし、アクセス数が大幅に増えたのはハヤテ関連以外の記事がきっかけだった。このサイトで最も多く読まれた記事は2006/7/2にアップロードした涼宮ハルヒシリーズ関連記事だ。そして、それをきっかけにして、定期的に読みに来る人が増えたとしか思えない流れになっている。
この時期は夏休みだ。季節要因という特殊事情が絡んでいる可能性が高いので、結論は9月に持ち越した方が良いかもしれない。しかし、Google Analytics導入後に確認したところ、ハルヒとハヤテという親和性の高い対象作品を取り上げたことによる相乗効果が存在しているように受け取れるデータがある。*2


ところで、2006/8/22に書いた記事「Webサイトはラーメン屋である」の中で、

アクセス数という客観的な尺度からみると、残念ながら『入魂の記事』はあまり読まれず、むしろ『軽く書いた記事』、ネギま!とかハルヒについて書いた記事が読まれています。

という記述をした。しかし、これは数字の見方を間違えて到達した結論だと思われる。概要のところで述べた0期から6期の区分で言うと、『入魂の記事』を書いたのは2期、『軽く書いた』ネギま!記事を書いたのは4期、ハルヒ記事を書いたのは5−1期だ。それぞれの期の基礎アクセス数は2期が70、4期は150、5−1期250、ベースとなるアクセス数が違いすぎる。比較すること自体に無理がある。前述の記事を書きながらそのことに気づいたが、今日のこの記事の中で、データの見方によって導き出す結論が変わる実例として取り上げようと思いそのまま残した。
一般論として、記事を書いている人間としては軽く書いた物より気合いを入れて書いた物を読んでもらいたいのが本音ではある。でも実際なかなか難しい。『入魂の記事』があったから『軽く書いた記事』が書けたわけだから。後から書いた物の品質が上がるのは当たり前のことだから。


もう一つ、概要の項で書いたハリーポッターの記事が無視されたという件についても書いておこう。書いた本人の感覚ではネギま!記事とハリポタ記事はほぼ同じ重さだ。ところが反応がまるで違う。理由は二つ考えられる。一つは筆者的には等価であっても読者的には品質の差が大きいと判断されたという理由だ。もう一つは、こういうブログ的な場所に書くにあたり、向いている記事と向いていない記事があるという理由だ。*3
自己弁護も兼ねて後者を膨らませた話にすり替える。既存のコンテンツに対して何かしらの感想を書く場合、元となるコンテンツの人気度、品質がアクセス数に跳ね返ってくることがしばしばある。同じ漫画の感想を毎週書いているとそう思う。面白かった週はアクセスが多く、今ひとつだった週はアクセスが少ない。*4自分のオリジナルコンテンツを書いていない以上、元とするコンテンツの品質が影響を及ぼすのはいたしかたない。そして、元となるコンテンツの「ネット上での」人気の違いもアクセス数に跳ね返ってくるはずだ。*5


コンテンツを工夫することによってアクセス数をアップするための最大のポイントは、サブタイトルとコンテンツの関係を考えることだ。2006/8/4の記事「パクリ 無料 読書感想文」では、このキーワードでこのサイトにアクセスしてきた方を揶揄する言葉をアップロードした。それだけでは大人げないので自分なりの読書感想文の書き方を書いてみた。*6すると、意外なことにその記事が読まれた。さらに文中でリンクした別の日の読書感想文記事もそれなりに読んでもらえている。
「読書感想文 パクリ 無料」この三つの言葉にも、検索する人の中に重み付けがあった。サーチエンジンで検索してこのサイトにたどり着いた人は「読書感想文」に関する記事を求めていた。この日の記事を私が「当たり」というのはサブタイトルで人を呼び込み、それに対応するコンテンツを用意することができていたからだ。記事を読まずに立ち去る読者がたまたま多かったというだけだったら当たりとはいえない。*7
もしかすると、来年の夏には「読書感想文 パクリ 無料」ではなく、「読書感想文」というもっとパイが大きそうなキーワードで検索したときにも上位表示されるサイトになれるかもしれない。そんな期待を抱かせる結果だった。


アクセス数アップの方法を扱う書籍やサイトでよく書かれているアドバイスがある。

サイトで扱うテーマは絞り込んだ方がよい。

このサイトでは、それに反旗を翻し、書きたいことを好き勝手に書いている。データがないアドバイスは信じない。そもそも日記サイトだ。好き勝手書いて何が悪い。そういうあまのじゃく的な考えでそうしている。その結果、このサイトはアクセス数で損をしているのか?どうもそうは思えない。そういうデータが出ている。*8
サーチエンジンの項に書いたことを思い返して欲しい。
テーマを絞り込まず、何でも書いているといろいろな言葉がサーチエンジンに捕捉される。そして、いつかある日、比較的頻繁に書いていたある言葉について比較的上位に表示されるようになったとする。*9そうすると、このサイトがそのサーチエンジンで様々な言葉をキーワードとした検索結果の上位に表示されるようになる。自分が書いた覚えが無い言葉まで捕捉される。
「チョコクリームチップフラペチーノ現象」はそこから生まれた。
ニュースサイトから拾って一度その文字列を記事に書いただけで上位表示されるほどGoogleは甘くはない。このサイトが「チョコクリームチップフラペチーノ」という言葉だけで上位表示されることはあり得ない。しかし、現実には上位表示された。
大事なのは上位表示されることではない。そのキーワードでたどり着いた方がこのサイトのコンテンツを気に入り定期読者になってくれる可能性もあるということだ。*10実際にそういう経緯で定期読者になる方の数が多いというデータが取得できた暁には、このサイトではそれを「チョコクリームチップフラペチーノ効果」と呼ぶことにしたい。*11 *12
「サイトのテーマを絞り込んだ方がよい」
私はそのアドバイスが間違いなのではないかと疑っている。
「あるキーワードで、ある程度上位表示されるサイトは、いろいろなキーワードで上位表示される事が期待できる多様なコンテンツを持っていた方がアクセス数を得るという面で有利」
感覚を元にするのではなくデータを元にするとその結論に達する。テーマを絞り込んでいては決してリーチ*13できない属性を持つ読者の獲得が可能になる。*14


このサイトでは一度大きなコンテンツ切り替えを経験している。個人情報サイトからハヤテファンサイトへ。180度というよりも別次元への切り替えだった。個人情報関連のコンテンツはほぼ切り捨てた。過去ログは残してあるが、新しい記事は数ヶ月に一度何らかの事件が起こったときにしか書かなくなってしまった。それは、漫画や小説の感想記事と個人情報関連の記事との相性があまりにも悪すぎると思ったからだ。そしてもう一つ、記事を書く自分への負担が大きいと思ったからだ。
そのコンテンツ切り替えで、このサイトの0期〜1期前半の読者はほぼいなくなってしまったと推測している。小さなパイから大きなパイに乗り換えたということになる。いまさら悔やんでも悔やみきれない。週に一度だけでも、書くことがないというおざなりな記事でもいいからこの話題を続けていればよかったと反省している。なにかしら書いていれば読み続けてくれる読者はいる。自分自身の行動を分析するとそうなる。小さなパイだと思っていた物が実は巨大なパイの一部分に過ぎない。そういうこともあり得る。コンテンツ変更による読者の選別は極力避けるべきだ。


最後に、私が禁じ手としていたコンテンツを紹介する。それは時事ネタだ。特に論議を巻き起こしているネタについては極力言及しないようにしていた。そういうネタはどのサイトでも取り上げられているので書いても面白くないというのが第一だ。何を書いても誰かが書いていそうで自分が書く意義が見いだせない。さらに、うっかり地雷を踏むと面倒だとも思っているからだ。*15お気楽に書ける日記サイトを維持したいと思っている。
もう一つ、時事ネタはその記事だけを読み捨てられる可能性が高いと想像している。しかし、それは想像でしかない。なぜなら時事ネタを書いてあり得ない数のアクセスを得たことがないからだ。それを検証したいと思い、最近はたまに時事ネタも取り上げるようにしている。しかし、幸か不幸か検証ができる機会は未だ訪れていない。*16
同様の理由で、その時点で話題になっている小説や漫画などについても極力言及しないようにしている。*17過去最大のアクセスを集めた2006/7/2の記事では、その禁じ手を使った。約一週間前に記事が準備されていたにも関わらず、アニメの最終話放映日というタイミングを計ってアップロードした。結果は、無惨。読者数が少ないサイトが小手先の細工をしても何も変わらないということを思い知らされた。


アクセス数を集めるのに一番重要な要素。それはコンテンツであると私は信じている。だから記事を書いている。残念ながらそれを裏付けるデータはほとんどとれていない。しかし、もしコンテンツ以外の要素でアクセスの多寡が決まってしまうのなら、毎日のように更新している多くのブログサイト運営者は無駄な努力をしていることになってしまうではないか。それは、あまりにも寂しい。*18



*1:実際に携帯に特化したコンテンツ作成を意識しているわけじゃないですけどね。

*2:サンプルが少ないのでデータ出しても説得力が…

*3:筆者自身は後者の可能性が高いと思いたいです…もちろん

*4:世間一般の評価と俺の評価が違うところがまた悩ましい。

*5:何が言いたいかわかって頂けると信じます。データがないので断言したくない。

*6:人に指導できるような物が書けているとは思えないのですが、何も書かないよりはましかと。

*7:読者はわかってるんですよ。筆者よりも読者は常に賢いです。そう思ってないとアクセス数アップは望めないと思います。

*8:他のサイトと比べないと本当のところはわからんですよ。実は。

*9:言わずもがなですが、このサイトの場合の「ハヤテのごとく!」がその言葉に該当します。

*10:あくまでも可能性です。チョコクリームチップフラペチーノという文字列をきっかけにこのサイトの読者になった方はいないと思われます。残念ながら。

*11:なんかどっかの商品名みたい。

*12:これだけ「チョコクリームチップフラペチーノ」と連呼すると表示順位あがるのか?ちょっと興味ある。

*13:立直ではありません。届くという意味あい。アクセスでもいいのですが「アクセス数」とかぶるのでこの言葉にしました。うまい日本語が思いつかなかった。あえて言えば到達かな?ニュアンス違うなぁ。

*14:最初からテーマを決めてブログを書き始める人は別に気にしなくていいと思います。日記書くつもりで書き始めて、アクセス数も気になり出した人には参考になるデータだと思うんですがいかがでしょうか?

*15:事なかれ主義です。かなり小心者ですよ。実際。

*16:亀田関連記事は読者が多いサイトで紹介されたこともあってそれなりのアクセスがありましたけど、増加分が100程度だったのでデータがとれるほどのサンプル数とは言えません。夏休み要因が無ければ母集団が少ないから意味のある数字がとれたのですが。話題になっている時事ネタは扱っているサイトが多いからねぇ。こんなところまで捕捉してらんないよねぇ。ここの記事に魅力がないという可能性は考えないことにする(笑)。

*17:日記書く前から「流行り物には手を出さない」を信条にしてます。流行に乗るのは悔しいと思ってしまうたちなので。

*18:この数字、例えばトラックバックセンターの情報をそのまま表示する記事と、それを吟味、取捨選択してコメントをつけて紹介する記事とを比較すると出てくるかも。その二つの記事のクリックレートを取って比較するんですよ。