カフカ著『変身』レベルが高すぎる

小説漫画問わずいろいろなところで引用・パロディ化されている名作です。あまりに情報が多いのですっかり読んだ気になってしまっていますが読んでませんでした。読んでみたらびっくり。恥ずかしながら書きます。すごいってのはわかる。でも今の私には感想書くのは無理。


不思議な作品でして。昨日の夜ひぃひぃいいながらようやく読み終わったんですよ。で、私には難しすぎて無理だと思ったんです。ところが、今日になって、もう一度読みたくなっている私がいるんです。ま、まさか。ハヤテパターンじゃ…。危険な兆候です。はまるパターンです。


一読しただけで、この作品が多くの創作者に強い影響を与えるなと言うことはよくわかった。強烈。でも、感想の書きようがない。逆に言うとそのくらい強烈。好きとか嫌いとかいう問題を超えていると思います。
常々書いているように、私は子供の頃筒井康隆作品の洗礼を受けています。だから、こういう作品世界には慣れ親しんでいるはずなんですよ。それでも読むのがつらかった。なのに強烈な印象は残った。不思議です。なんでなんだろう?


名作物の感想文記事は想定読者を中学生・高校生に設定しているのでそれなりの物は書かなきゃいかんと自分を縛っています。そうですね。どうしようか。
困った時の解説の解説をしましょう。手元にあるのは昭和27年発行、平成15年93版の新潮文庫です*1。解説は1985年(昭和60年)に書かれた物です。
この作家・作品を学問として勉強しようとしているのなら前半のカフカの人となりなどについて書いている物は非常に参考になるでしょう。ただ、感想文を書こうとしていたり、普通に読んだりする人にとってはレベル高過ぎです。ついていけません。
参考になるのは「『変身』について」という項目です。ここには作者本人がこの作品について語ったことも引用されています。もし感想文を書くのならばここをとっかかりにするのがよいと思います。
うーん。それでも難しすぎるなぁ。私には。例えばこの作品について、作者本人は失敗作と言っているらしい。どの当たりが気に入らないのかも書いてあるんですが、そこまで読んでも作者の胸の内がわからん。


ただ、一つ不安に思うことがあります。
もしかすると最近の子供たちはすんなりこの「難解な小説」を理解できてしまうのではないかと…。日常と非日常のせめぎ合いとか、突然降りかかるあり得ない出来事とか、そういうのに漫画とか小説で慣れているはずなんですよ。私が理解できないだけで、子供たちは絵を思い浮かべながらすんなり読める小説なのかもしれません。
そう、これ、漫画化できます。たぶん既にある様な気がします。ちょいとグロいですけれど今の読者には十分受け入れられる物でしょうね。そのことを作者が喜ぶかどうかはともかくとして私は漫画で読むことが出来るなぁと思いました。しかし、本当は文字で読んだ方がいいと思います。読者が勝手に自分のイメージを膨らませた方がいろいろと感想を持ちやすくなる。


うーん。と何度書いたことか。
まずは最初に呈示される突飛な設定をなにかの象徴と捉えるのか作中での生々しい現実と捉えるのかで分岐しますね。それによってどういう感想を書くかがだいたい決まってくる。旧版新潮文庫の解説を読むと何かの象徴として捉えるのが一般的なようですが、今の時代に読むと後者の読み方をする方がいいのかなと思います。作中の現実を現実として受け止めた上で、それを受けての周りの行動などに目を向けると、とりあえずそれらしい感想文が書き上がるんじゃないかな。


今日は『変身』という作品を語る場合必ず出てくるある単語を使わずに書いてみました。読んで失笑する人の姿が目に浮かぶぜ…。
とにかく、私には難しすぎる。なのに読み返したくなる。不思議な小説です。1世紀近く生き残っている作品をなめてはいけない。


変身 (新潮文庫)

変身 (新潮文庫)



カテゴリ 読書感想文
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*1:解説の解説の場合はこれ書かないと意味無いって事に気づきました。今までも記事にも折を見て追記します