コーヒーが廻り世界史が廻る

コーヒーが廻り世界史が廻る―近代市民社会の黒い血液 (中公新書)

コーヒーが廻り世界史が廻る―近代市民社会の黒い血液 (中公新書)

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もう十年以上前の本です。そういう本がちゃんと残っている。それが新書のいいところなのかなと思います。
タイトル見て中身をちょっとみて面白そうだったので買いました。
面白かったです。
地理と歴史は地歴というようにいっしょくたにされることがありますが、俺は地理には興味があっての歴史は全くだめ。むしろ嫌いです。四桁の数字なんて覚えられるかっていうの!!自宅の電話番号覚えるのに偉く苦労するくらいなんだからorz


この本ではコーヒーという農産物、そして後に商品となる物を中心に、主に中近東からヨーロッパ、さらには中南米、アフリカの歴史を追っています。
読んだ限りどこにもそんなことは書いてないんですが、読後に「コーヒーこそが世界の歴史を動かしたのではないか」と思ってしまうのは著者の筆力でしょうね。
ナポレオンもヒトラーもコーヒーというものが無ければ生まれなかったというように思えてしまいます。そして、忌まわしき奴隷制度も、虐殺も、神秘的な儀式もみんなコーヒーが関わっている、そう錯覚させられるような本です。
前の本と後ろの話題とのからみになってしまいますが、現代におけるカフェはもしかするとネットなのかも知れません。自己顕示欲の強い人、逆に人の意見を聞くのが好きな人、そういう人々が集まる場、その場所は時代は変わっても必ず必要になるということなんでしょうか。
久々に無条件で人に勧められる新書かも知れません。