読書感想文 ヤン・カールソン著『真実の瞬間』



真実の瞬間―SAS(スカンジナビア航空)のサービス戦略はなぜ成功したか

真実の瞬間―SAS(スカンジナビア航空)のサービス戦略はなぜ成功したか





めったにビジネス書の感想は書かないし、そもそも立ち読みで済ませることが多くて買うこともないのですがねぇ。
この本、同僚がウッカリアマゾンで2回クリックしてしまったとのことで引き取りました(笑)。せっかくなので感想を書いてみようと言う貧乏根性です。


読む前に私も存在を知っていたような著名な本なので、ネットにも腐るほど感想があると思います。中にはほんとに腐っているのもあるかも知れないね。なので、臆することなく腐った感想が書けるという寸法になっております。




まず、実務家が書いたビジネス書全般に言えることなんですが、他のジャンル以上に本の中身を頭っから信用してはいかんということですね。
うっかりすると単なる自慢を一般化しただけの話を読まされちゃうこともありますし、逆に、本当に大切なことは書いていないこともわりと多いのではないかなぁと感じています。はい。感じているだけです。そういう本の著者に直接面識があるわけではないですから。たとえ面識があったとしてもそんなことを聞いたことがあるわけ無いですから。


ということをさっぴいて考えてもなかなか興味深く読むことができました。


真実の瞬間とは顧客と向き合う15秒間であるみたいな話はよそでも間違えなく書いてあると思うのでって書いちまったよまぁいいや別の切り口で。
この手法を取る上で難しいのはこの本でも触れられている中間管理職の扱いともう一つ、バックオフィスなんだろうなぁと思います。
バックオフィスってのは直接お客様とかとはやりとりをしない職種。私がやっている仕事のほとんどは、お客様から見たらバックオフィス系ですね。むしろフロントに回ったことがあるシステム屋って少ないんじゃないかな?
バックオフィスってなかなか難しいんですよねぇ。モチベーション的に。内部ではコスト部門としてみなされている。うん。もしかしたら必要悪とまで思われているかも知れない。企業が利益を出したり存続する上でやむなく養って仕事をしてもらっている人たち。
そういう人たちを満足させる手法については触れられてなかったように思えますね。残念。


権限を現場に与えることによって顧客が満足してくれる可能性を高める。現場で判断ができるよう明確な経営方針を呈示する。おそらくはこの本に触発されたり、あるいは自分でそこに至ったりして同じような経営をしようとしている人は多いんでしょうねぇ。


著者だって最初からそういう域に達したわけではないのですな。最初は失敗もしている。強圧的な独裁者的な経営をしようとしていたらしい。おそらくそれは誰もが通る道。俺も通った記憶がある。今通っている人が身近にいるような気もする。そこを通り抜けた先に何を見るかでその人自身の人生が変わってくるのだろうなぁ。もちろん俺の人生もね……。