読書感想文 宮沢賢治著『ツェねずみ』

うーん……。なんという小説……。
まぁ、説話みたいなものなんですよね。うろおぼえだけれどイソップの寓話みたいな雰囲気。ブラックなエンディングです。


「ツェ」という名前のねずみがいます。いろいろな動物や物が彼に対してよかれと思っていろいろなことをしてあげるんですよ。餌の場所を教えてあげたりとかね。ところがツェねずみは、自分の思い通りにならないとその情報を教えてくれた人を責めるんだな。責めて補償を求めるんだな。ツェねずみに親切心からいろいろやっていた動物や物はびっくりしちゃって、それができる場合はその場では補償をするけれどツェねずみとは疎遠になってしまいます。
そうしてどんどんツェねずみにはしゃべってくれる動物や物がいなくなっちゃいました。
ところが、ある物だけは最後までツェねずみに声をかけてくれていました。ねずみ取りです。
ツェねずみの運命やいかに……。


他人を責めるだけでは何も生まれないと言う事を伝えるために作られた説話だろうなぁと思いますね。今読んでもいろいろ身につまされます。自分の恵まれない(と自分自身では思っている)境遇を自分以外の何者かのせいにする風潮は決して今に始まったことではないのかなぁ。宮沢賢治が生きていた時代にもそういう風潮はあったのかなぁ。そんなことを思いました。


短いから10分も有れば読めるし感想文も書きやすいと思いますがおそらくは小学生向けみたいな扱いをうけてしまうのかもしれません。本当は大人が読んだ方がいいと思うんですけれどね。
読んでよかった。